最低賃金改正と被扶養者要件の変更
被扶養者認定における年間収入要件の改正10月になりました。
少し涼しくなってきて、一安心です。
まだ台風の心配は残っていますので、油断は禁物ですね。
今月の話題はこちら
「最低賃金の引上げ」
「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件の見直し」
いずれも労務管理に直結する重要な改正ですので、早めの対応をご検討ください。
1.最低賃金の引上げについて
厚生労働省より令和7年度の地域別最低賃金が公表され、全国加重平均で 1,121円(改定前1,055円) へと大幅に引き上げられます。
例えば、東京都は 1,226円(改定前1,163円)、神奈川県は 1,225円(同1,162円) となり、全国的に60円台後半の引上げが行われています。発効日は地域ごとに異なりますが、令和7年10月以降、順次適用されていきます。
事業主の方は、従業員の給与が最低賃金を下回らないかを確認し、必要に応じて賃金規程やシフト管理の見直しを行いましょう。
特にパートやアルバイトを多く雇用している事業所では、総額人件費への影響が大きくなる点に注意が必要です。
この引上げの対象になるのは、10月1日以降に働いたぶんに支払われる賃金です。
例えば、末締め翌月20日払いの事業所の場合、
10月20日に支払われる賃金(9月1日から9月30日まで働いたぶん)⇒R6年の最低賃金
11月20日に支払われる賃金(10月1日から10月31日まで働いたぶん)⇒R7年の最低賃金
となりますのでご注意ください。
2.19歳以上23歳未満の親族等の被扶養者認定の年間収入要件見直しについて
税制改正を踏まえ、令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満の親族等を被扶養者とする場合の収入要件が見直されます。
これまで「年間収入130万円未満」であったものが、「年間収入150万円未満」 へと緩和されます(被保険者の配偶者は対象外)。
ただし、その他の要件(扶養者の収入との比較や仕送り要件など)は従来通りです。
この見直しにより、扶養の範囲内で働きたい大学生の収入に影響が出てきます。
今までより多く働くことができるようになります。
学生本人は収入が増えますし、事業主側からみると、シフトを増やすことが可能となります。
3.事業主への影響と対応のポイント
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最低賃金:給与水準の見直しが必要となるほか、就業規則や労使協定の再検討も視野に入れる必要があります。
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被扶養者認定:従業員からの問い合わせが増えることが予想されるため、社内での周知や相談対応体制を整えることが望まれます。
いずれの改正も、従業員の生活や就業調整に直結する重要な制度変更です。経営への影響も踏まえ、早めの準備と周知徹底を行ってください。
ご不明な点がありましたら、社会保険労務士へお気軽にご相談ください。
