無事故無災害でお得になろう。

2017年09月01日

9月になりましたね。

8月の終わりから、急に涼しくなりましたが、皆様、体調を崩されておりませんでしょうか。

私の事務所のある生田では、涼しさ極まり、秋の訪れといった感じでございます。

先日の記事の中で、労災保険料の例外がある、というお話をいたしましたが、今回はその「例外」についてのお話でございます。

労災保険料、国で決められた保険料率があり、業種ごとにその料率があてはめられるので、会社ごとに保険料率が上がり下がりすることはありませんよ、とご紹介さしあげました。

(↑前回のお話でございます。)

しかし、例外として、会社の労災保険使用頻度によって保険料が上がり下がりする制度がございます。

これを「メリット制」と申します。

厚生労働省の公表している概要は、下記の通りでございます。

【メリット制の趣旨】

 事業の種類ごとに災害率等に応じて定められている労災保険率を個別事業に適用する際、事業の種類が同一であっても作業工程、機械設備あるいは作業環境の良否、事業主の災害防止努力の如何等により事業ごとの災害率に差があるため、事業主負担の公平性の観点から、さらに、事業主の災害防止努力をより一層促進する観点から、当該事業の災害の多寡に応じ、労災保険率又は労災保険料を上げ下げするものである。

何やら小難しいことがつらつらと書いてありますね。

これがお役所風の文体でございます。

簡単に言うと「同じ業種でも、事故防止に積極的に取り組んでる会社には、保険料割引するよ」ということでございます。

そして、こちらのメリット制、対象の会社の規模や業種が決まっております。

(1)  常時100人以上の労働者を使用する事業

(2)  常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率(通災及び二次健診給付に係る率:0.9厘)を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの

(3)  一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上であるもの

(2)はひとまず置いておいて、(1)と(3)に注目してみましょう。

(1)100人以上の労働者、と、(3)建設及び立木の伐採の事業、ひとまずこの二つを気にしていただければ十分でございます。

「お、うちの会社、この二つにあてはまってるよ」と思われる方は、次に進みましょう。

重要なことを忘れておりました。

労災保険に加入してから3年以上経過していること、が条件でございます。

これは、メリット制の料率計算が、以前3年度の保険給付額を使って行うものだからでございます。

では、実際にどのような計算が行われるのか、見ていきましょう。

【メリット収支率】

 労災保険率を上げ下げする基準は、基準となる3月31日において当該連続する三保険年度の間における当該事業の一般保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に調整率を乗じて得た額と、業務災害に係る保険給付及び特別支給金の額との割合により算出される収支率(メリット収支率)による。

つまり、前3年分に労災保険料として国に納めた金額(払ったお金)と、実際の保険給付(もらったお金)との割合で、保険料を下げましょう、ということでございます。

「毎年200万円の保険料を国に納めているけれども、うちの会社は事故がほとんどないから、年間5万円くらいしか国から支給されてないよ。払い損だよなあ」

というご意見を反映した施策でしょうね。

ご自分の会社がメリット制の適用を受けるかどうかわからない、という方は、ぜひ社労士までお問い合わせくださいませ。

また、労働基準監督署に問い合わせても教えてくれるようです。


と、ここまで複雑なメリット制についてご案内してきましたが、実は、このメリット制、該当する会社の方には、毎年の労働保険料の年度更新の書類に記載されてくるのでございます。(下記リンク参照)

ですから、「該当するかどうか考えるのが面倒だ」という方は、労働災害防止に邁進していただいて、ある時突然、メリット制に該当して保険料が下がります、というお知らせがくる、ということでございます。

国からのご褒美として、受け取ってくださればよろしいかと存じます。

もちろん、労働災害が多くなって参りますと、逆のメリット制、すなわちデメリットとなって、労働保険料が上がるということもありますので、ご注意くださいませ。

では、本日はこのあたりで。